いま都知事選がおもしろい

 こんなことを言っては東京都民に叱られそうだがあえて言ってみる。
 
 今度の東京都知事選では出馬するであろう人たちの名があれこれ取り上げられ、そして候補者本人や都議連、各政党の動きを見ていてとてもおもしろい。
 
 つい最近では、昨日(13日)の合同記者会見で「(出馬する)基本的な姿勢はかわっていない」と言っていた宇都宮健児氏が、その日の夜に突然出馬を取りやめる、と発表した。

 さすが都知事選は最後まで何が起こるかわからないものだ。
 
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 後出しジャンケが有利な東京都知事選ではいろいろな人が立候補することはよく知られているが、今回は特に興味をそそることが多かった。
 
 早出しジャンケンの人もいたし、究極の後出しジャンケンをした人もいた。
 フェイントのような演出をした政党、候補者もいた。
 
 とにかく一夜明けると事態はがらりと変わっていたことも珍しくない。

 その中で残念に思ったのは「野党統一候補」という条件で出馬の意向を示していた石田純一氏が出馬を断念したことである。
 
 それは彼の都知事としての能力や資質うんぬんというよりも、もし彼が都知事
 なったらタレントとしての力量を最大限発揮するに違いないという確信が私には
 あったから。
 
 そのことは後述する。
 
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 そもそも今回の都知事選は、オリンピックパラリンピックの開催を4年後に控えた日本の首都ー東京で起きたあの政治資金私的流用疑惑。
 
 その中心人物の舛添氏が都知事辞職してから私はしばらくは東京都議会に興味が無くなった。
 
 
 理由は6月の都議会本会議で政治資金の私的流用についてあれほど舛添氏を非難していた自民党公明党の与党の都議連がどたんばで百条委員会の設置に反対したからである。
 
 自民党および公明党の与党都議連は政治資金私的流用疑惑を解明する気など最初から無かったのである。
 
 あの本会議で舛添氏や都民に対して見せた「怒った」表情は見せかけだったのだ。
 
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 私は6月9日付けのブログで、自民党公明党の都議員たちが政治資金私的流用疑惑で舛添氏を非難する辛らつな言葉を聴いていたが、これは本心かと疑ったことを記した。
 
 世界に「せこい」という言葉を知らしめたということだけでも罪であるこの疑惑の解明はされなければならないと思い、百条委員会は設置されるべきだと書いた。
 
 たとえ舛添氏の都知事辞職が決まっていたとしても、である。
 

 6月13日、都議会で第1回集中審議が開催された。

 私はこの時の様子を都議会のインターネット中継で観ていた。

 野党の百条委員会設置提案が終わった直後に議長の賛同する者の起立を促す声が響いたが、起立したのは議長席に向かって左前方の議員数人だけである。
 
 与党議員が占める中央と右側の席はだれも起立していない。

 時刻は午後8時4分ごろであった。
 


 政治資金流用疑惑であれほど舛添氏を非難していた与党系都議員は百条委員会
の設置に反対した。

 
 
 私は思った。
 
 一国の国家予算にも匹敵する予算を扱う東京都議会も、一皮むけば政治活動費で問題が起きているあちこちの地方議会となんら変わるところはないじゃないか。
 
「政治というのはこんなもんだよ」としたり顔で言う議会のボスの顔が見え隠れする。
 
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 疑惑の解明というのは同じ不祥事が起きる抑止効果があるはずだ。
 
 「過去を振り返ることでなく、これから先を観ていこう」と疑惑の解明など後ろ向きだと言う者がいる。
  
 百条委員会の設置が見送られたこで舛添氏の政治資金流用問題はやむやになってしまった。

  政治資金流用疑惑の解明も果たせずに、再び新しい都知事を選ぼうとしているこの東京都議会の姿勢は、いま各地で問題となっている政治活動費など税金の不正使用に対する地方議会の模範たりうるものとはとうてい思えない。
 
 もし私が東京都民であったなら、都知事選の投票の際には百条委員会の設置を見送ったこの集中審議の情景をきっと思い浮かべるだろう。
 
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 すっきりとした夏空はまだまだ先の東京で都知事選がスタートしたが、もう三たび同じ轍を踏まないという思いがあれば、このぬるま湯的な東京都議会にガツンと一発鉄拳を下す人物が必要であろう。そしてこれからの都知事はありふれた経歴や手腕などより、人間としての価値観そして人としての生きざまを都政に生かしていけ人物なのかということを基準にするべきでないかと考える。

 さらに4年後のオリンピック、パラリンピックを開催する日本の首都として恥ずかしくない東京都を創造できるか、新都知事とともに都議会、東京都民が考えなければならないことであろう。
 
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 ところで都知事選出馬をあきらめた石田純一氏が都知事に選ばれたら絶対にするだろう、という予感があったと前述した。
 
 それは何かというと、今度の都知事選で選ばれた新しい知事はおそらく8月のリオジャネイロ五輪の「フラッグ・ハンドオーバー・セレモニー(五輪旗の引き継ぎ式)」に参加するはずだ。
 
 そこで次回開催地である東京都知事五輪旗を受け取る手はずになっている。
 
 もし石田純一氏が東京都知事になったとしたら、五輪旗を手に受け取った瞬間こう叫んだことだろう。
 
 「五輪は文化です!