いま都知事選がおもしろい
こんなことを言っては東京都民に叱られそうだがあえて言ってみる。
今度の東京都知事選では出馬するであろう人たちの名があれこれ取り上げられ、そして候補者本人や都議連、各政党の動きを見ていてとてもおもしろい。
さすが都知事選は最後まで何が起こるかわからないものだ。
後出しジャンケが有利な東京都知事選ではいろいろな人が立候補することはよく知られているが、今回は特に興味をそそることが多かった。
早出しジャンケンの人もいたし、究極の後出しジャンケンをした人もいた。
フェイントのような演出をした政党、候補者もいた。
とにかく一夜明けると事態はがらりと変わっていたことも珍しくない。
なったらタレントとしての力量を最大限発揮するに違いないという確信が私には
あったから。
そのことは後述する。
あの本会議で舛添氏や都民に対して見せた「怒った」表情は見せかけだったのだ。
世界に「せこい」という言葉を知らしめたということだけでも罪であるこの疑惑の解明はされなければならないと思い、百条委員会は設置されるべきだと書いた。
たとえ舛添氏の都知事辞職が決まっていたとしても、である。
6月13日、都議会で第1回集中審議が開催された。
私はこの時の様子を都議会のインターネット中継で観ていた。
野党の百条委員会設置提案が終わった直後に議長の賛同する者の起立を促す声が響いたが、起立したのは議長席に向かって左前方の議員数人だけである。
与党議員が占める中央と右側の席はだれも起立していない。
時刻は午後8時4分ごろであった。
政治資金流用疑惑であれほど舛添氏を非難していた与党系都議員は百条委員会の設置に反対した。
私は思った。
一国の国家予算にも匹敵する予算を扱う東京都議会も、一皮むけば政治活動費で問題が起きているあちこちの地方議会となんら変わるところはないじゃないか。
「政治というのはこんなもんだよ」としたり顔で言う議会のボスの顔が見え隠れする。
疑惑の解明というのは同じ不祥事が起きる抑止効果があるはずだ。
「過去を振り返ることでなく、これから先を観ていこう」と疑惑の解明など後ろ向きだと言う者がいる。
百条委員会の設置が見送られたことで舛添氏の政治資金流用問題はうやむやになってしまった。
政治資金流用疑惑の解明も果たせずに、再び新しい都知事を選ぼうとしているこの東京都議会の姿勢は、いま各地で問題となっている政治活動費など税金の不正使用に対する地方議会の模範たりうるものとはとうてい思えない。
すっきりとした夏空はまだまだ先の東京で都知事選がスタートしたが、もう三たび同じ轍を踏まないという思いがあれば、このぬるま湯的な東京都議会にガツンと一発鉄拳を下す人物が必要であろう。そしてこれからの都知事はありふれた経歴や手腕などより、人間としての価値観そして人としての生きざまを都政に生かしていける人物なのかということを基準にするべきでないかと考える。
「五輪は文化です!」