ジャンヌ・ダルク的都知事になれるか~東京都知事に小池百合子

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 新しい東京都知事にj小池百合子氏が決まって、ある意味では当然かな、という
気がする。
 
 獲得票数が次点と次次点の、つまり増田寛也氏と鳥越俊太郎氏のふたりと比べ
て、小池氏の演説は気負いのない、親しみやすい迫力があった。
 
 自身をあのジャンヌ・ダルクに例えて、火あぶりされる覚悟で都議会に飛び込む
とも言った。

 崖から飛び降りたものの、崖下は燃えさかる炎だったのである。
  
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 彼女の演説はオーバーな表現もなく、静かではあるが熱がこもっている。

 それに比べ、増田氏や鳥越氏の演説ぶりやその内容は弱弱しい。
 
 優等生の台本を読むがごとく言葉を並べても心に響かない。

 自分の政治生命が絶たれるかどうか、ぎりぎりの位置から発言をしているとは感じられないのだ。
  
 メリハリのない演説ほど記憶に残らないものはない。
 
 こんなことを言うと男女差別と言われるかもしれないが「あなたたちは男でしょう!」
 と何度叫びたいと思ったことか。
 
 バックに大きな組織がついているから気が緩んだのか、それとも都知事にふさわしい度胸が欠けていたのか。
 
 
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 「後出しジャンケン」が有利と言われた都知事選で、小池氏が早々と立候補宣言をしたタイミング、そして「当選したら都議会を解散する」というびっくり発言をしたのも東京都民の共感を得たと思う。
 
 なぜなら、舛添前都知事の政治資金の公私混同疑惑などについて、東京都議会は百条委員会などを設置して検証することなく、うやむやにしてしまったことに対する都民の怒りはその時点でピークに達していたのだろう。
 
 そういう時に小池氏の「都議会解散」という言葉が飛び込んできた。都民の怒りの発散先はそこに集約された。
 
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 都民の怒りはもうひとつ。
 
 東京都議団がリオ五輪視察に大量の都議員派遣を計画し、高額の視費用がかかることに対して批判が起きた。
 
 政治とカネの問題で都知事が辞職してまだ数日も経たないという時期に、である。
  
 その後都議団はリオ五輪の派遣を中止したが、前知事の高額海外出張の問題が取りざたされた後の都議会のこの動きは都民の常識とはかけ離れたものとして映った違いない。
 
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 このような空気の中で「都議会を解散する」と言った小池氏は都民にとって魅力的に見えたことであろう。
 今回の都議選で小池氏がとった手法はあの小泉元首相のそれとよく似ている。

 「後出しジャンケン」が有利といわれた都知事選であえて「先出しジャンケン」を狙ったのも、今まで何度か効果的であった「後出しジャンケン」もそろそろ賞味期限が切れると推測したのであろう。
 
 これは小池氏本人がそう思ったのか、ゴースト的な指南役がいたのかは知らない。
 
 そして「都議会をぶっ壊す」とまでは言わなかったけれど、立候補を表明してすぐに「都議会を解散する」と言わしめたのも、敵が誰であるかをはっきり示したことが都民の共感を得たのだと思う。

 小池氏のすごいところは、まだ公示前の早い段階で、すでに都知事に就任したときのことを考えていることである。

 しかしながら、都知事には議会に対して直接の解散権はない。
 
 都議会の解散は、都議会から都知事の不信任案が提出・可決されてからの後のことになる。
  
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 この9月から都議会本会議が始まるが、よほど都知事に失態がない限り、この時期の不信任案提出は考えにくい。だから都議会の解散もない。
 
 もし解散したところで現議員が再び同じ議席に座れるという保障はない。小池氏の出馬に批判的った与党会派の議員はおのずと不信任案の提出には慎重にならざるを得ないだろう。
 
 さらに、もし都議選になってその結果しだいでは現在の与党議員と野党議員の構成が逆転したとなれば、再度都知事に対する不信任案が可決される可能性は少なくなるだろう。
 
 こういうことを考えると、小池新都知事と都議会は細かなところで諍いはあっても当分呉越同舟のような雰囲気で来年7月の都議選までは持ちこたえるのではないだろうか。
 
 小池氏の「都議会解散」発言は、自分に対する不信任案提出に圧力をかけるたと言えそうだ。
 
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 今回の都知事選で小池氏を応援した自民党議員に対して、自民党都議連がどのような対応をするのか、むしろそちらのほうに興味がある。
 
 小池百合子都知事に対しては自民党都議連から早速「除名処分」の声が出ているが、下手をするとブーメラン現象になって自民党都議連はかえって大きな痛手を負うかもしれない。
  
 
 ジャンヌ・ダルクは19歳の若さで火刑にされた。そのために歴史に残る人物となった。
 
 平成のジャンヌ・ダルク東京都知事になった初めて女性というほかに、どのような功績を残してくれるだろうか。
 
 まだまだ東京都議会から目を離せない。