内閣改造~言葉より行動
安倍首相が深々と頭を下げた姿は今まで一度も無かったと記憶する。しかし、頭を下げる安倍首相の姿を素直に受け取れないのはなぜか。
それは先の通常国会が閉会した後での記者会見でも国会の混乱を招いたと言葉では詫びたが、その直後の都議会議員選挙の応援演説の際に、街頭のヤジに激昂して叫んだ「こんな人たち」という言葉がまだ強く耳に残っていることもある。
こんなとき私は丁寧な言葉で観客を魅了したある役者のことを思い出す。
ある有名な歌舞伎役者が舞台の上でくるりと体を回して観客に背を向けた。そのときその歌舞伎役者はペロリと舌を出してつぶやいた。
「こうして優雅に踊ってさえいれば多くのファンが応援してくれる。観客なんてあまいもんだ」
再び歌舞伎役者が観客のほうに満面の笑みで顔を向けた。あちこちで大きな拍手が起こった。
安倍首相が詫びの言葉で語るよりも、内閣支持率をアップさせる確実な回復方法がある。
それを実施すると政権が揺らぐ恐れがあるというほど深刻なものならば、それこそ早く腐った膿を出すことが先決ではないか。
今まで安倍政権下で起きたいろいろな不祥事の大半はウヤムヤにされてきた。
国民の信頼を大きく損ねることになった森友学園・加計学園問題の事実の究明を安倍首相が頑なに拒否していては、たとえ何度内閣改造を行ったとしても安倍政権に対する不信はいつまでも消えないだろう。それどころか自民党に対する国民の信頼さえも無くしてしまうだろう。
「口先だけでわれわれのために何もしていない」と。
この言葉の「われわれ」を「日本国民」と変えれば安倍政権に対しても使えそうな気がする。
そんなことが無いよう願いたいものだ。