安倍首相の「トランプ氏の決断を支持する」発言は拙速だ
その後の記者会見で安倍首相は、今回の米朝会談について「トランプ氏の決断を全面的に支持する」と述べた。
2019年3月1日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より
この会談でも拉致問題を取り上げたといわれるが、実際はどのようなやり取りがあったのか詳しくは報じられていない。
私が危惧するのは、今回の会談において「トランプ氏の決断を全面的に支持する」という安倍首相の発言によって北朝鮮が態度を硬化させるのではないか、いうことだ。
拉致問題について安倍首相は「私自身が金委員長と向き合わなければいけないと決意している」と言うが、それには両者が向き合える環境整備が重要である。
その環境をひっくり返すような発言を行ってトランプ氏に忖度したところで、拉致問題の解決にどのようなメリットがあるのか。
一国の指導者は常に現状分析や洞察力、想像力、発想力などを駆使して発言や行動をしていかねば恥をかくこともある。
安倍外交は稚拙だというのは、「金委員長と向き合って拉致問題を解決していかねばならない」と言っておきながら、その一方でその向き合う相手の心情を逆なでするようなことを安易に発言するといった矛盾した行動が見られるからである。
仮にその発言内容が正しいとしても、今はそのような発言は心の中にしまっておくことも外交の心得であろう。