なにか心もとない日本の外交
10日の日米首脳会談を前にして、トランプ大統領は日本の為替政策が円安誘導だと名指しで非難した。
日本人的な考えでは、大事な会談を前にしてなんと無礼な、と思うだろうが欧米では少々異なる。
それらの国では、いかに会談で自国を有利な結果に導くか、と事前の駆け引きが普通である。
ましてやあのトランプ氏である。
日本という国は少し脅せば簡単に言うことを聞く国だとトランプ氏に見られてしまった。
トランプ氏が日本の為替政策について強烈に非難したのも、入国制限の大統領令について安倍首相が国会で「コメントすべき立場にない」と逃げたような発言をしたことも影響しているだろう。
反論しない者に対しては徹底的に打ちのめす。
これが狩猟民族、欧米人のやり方である。
日米首脳会談を前にして、「弱いジャブでも出してやれ」とトランプ氏が思ったとしてもおかしくない。
相手の心情に訴えるとか、理解してもらうとか、そんなひ弱なやり方で通じる相手ではないことはすでにわかっていることである。
ならば綿密な外交戦略を練っておくことは必要なのに、どうも今の政府にはその気配がみられない。
相手に手の内を見せない、ということで黙っているのは本当は戦略など何も無いか、あるいは自分に都合の良い結果ばかりを想定しているためではないかと疑ってしまう。
欧米諸国と交渉する際の日本のお家芸的ともいえる話がある。
「われわれには秘策があります」
結局、開催地は中国に決まり、あっけなく大阪は破れた。
秘策など何も無かったのである。いや当時の市長や役人たちの頭の中にはそれらしきものがあったかもしれない。それはひょっとすると選考委員に対する作戦だったかもしれない。
少なくと戦略と呼ばれるようなものは何も無かった、と私たちには思えた。
相手がある外交交渉が難しいことは当たり前である。
大臣が返答に屈したときに、小学校の生徒が答えられなくて先生が代わりに答えるような、そんな国会って何だ。
大臣ならば、自分の口で、自分の言葉で堂々と返答できる能力を兼ね備えているはずだ。
それができぬ大臣、って何だ。
さらに、昨年末の日露首脳会談の締結文書について、日本語の文書には記載されている北方4島の名がロシア側の文書には記載されていないという質問に政府からまともな回答がなかったことも疑問に感じた。
これらのやり取りの詳細を確認するために、今日の朝刊の国会論戦の内容を見てみると、案の定見事削られている。
まあ、国会論戦をすべてを載せるスペースは無いこともわかるし、保守寄りの新聞だから致し方ないが、今一度新聞で確認したい情報が見事削られているのも「なんだかなあ~」と思うのである。
こうなるとトランプ大統領ではないが、「新聞は都合のよい部分だけを取捨選択して報道する」と思ってしまう。
そのためにネットなどほかの手段で情報を集めるが、その多くは「メディアは権力者の番人」とは言いがたい内容である。
自分の良心に従って声を挙げた者が即座に非難される世の中になったのか。
もし世界の価値観が今までと違ってくるようならば、日本という国は今までのように安穏とはいくまい。
日米首脳会談の厳しい結果を想定しておくのも必要なのではないか、と思う。