なぜこの時期なのか~京産大の獣医学部断念発表

 加計学園疑惑で野党が求めている安倍首相の閉会中審査の出席に政府・自民党が応じる方針を決めたという。

 もちろん安倍首相の出席だけでなく、キーパーソンの和泉洋人首相補佐官の招致も当然であろう。

 そして和泉氏は参考人招致でなく、証人喚問として招致することが必要不可欠である。

 そうでなければ、今までと同じ議論が繰り返されるとしか思えない。

 証人喚問だとしても必ずしも真実を述べるとは限らないが、虚言をすれば後々まで良心の呵責に悩まされるだろう。

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             (7月15日付け 読売新聞朝刊 1面より)
 
 安倍首相が閉会中審査に応じるというニュースが流れて幾日も経たない14日、加計学園と競合関係にあった京都産業大学の黒坂光副学長が「今後も獣医学部設置をするのは困難」だとしてを断念する方針を明らかにした。

 その中で黒坂氏は「(政府が決めた)2018年4月の設置という条件下では準備期間が足りなかった」とも述べた。

 まず思ったのは、京産大のこのような発表が何故この時期なのか、ということである。

 安倍首相が「閉会中審査に出席する」という状況の変化に応じて、京産大の発表が急遽仕組まれた感が強い。
 
 京産大獣医学部設置を断念したのがいつだったのか知りようがないが、もっと早く発表する機会は何度もあったし、ここへきて急に獣医学部設置が困難と判断した理由が分からない。
 
 読売新聞はこの京産大の発表を15日朝刊の一面に載せ、次のような記事を書いている。

 「野党は、安倍首相が長年の友人の同学園(加計学園)理事長に便宜を図るため、京産大ではなく、加計学園を選んだのではないかーーと批判しているが、京産大側の事情で認定に至らなかったという側面が判明した」。
 
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              (7月15日付け 読売新聞朝刊 2面 より)
 
 さらに読売新聞の2面にも関連記事を載せ、そこには「『加計が充実』裏づけ」と大きな見出しがあり、さらに「2018年4月開学には準備が足りなかった」「『広域的に獣医学部の無い地域でのみ新設』という政府方針だけで、対象外になったとは思っていない」と京産大の発言をまとめて別枠に載せている。

 まるで政府の言わんとするところを、京産大の発表にこじつけて載せたような記事である。

 さらにこの日の読売新聞29面には、山田啓二京都府知事が「準備が足りなかった」、京産大の黒坂副学長は「外された認識ない」と発言した記事もある。

 加計学園は十分な準備がされていて、一方の京産大は準備が足りなかった。それで加計学園に決まった、ということは裏返せば、加計学園だけに有利な情報が早くから流されていたということに他ならないではないのか。
 
 文科省から出てきた文書やメモ(どちらも法的には公的文書)に書かれていた内容が虚偽であるならば、何故それを法的手段で訴えないのか。

 雲を掴むような今までの政府の答弁にどれほど怒りを感じたか。
 
 それほどまでして加計学園の真実を隠したいのは、もし疑惑が事実であった場合、これに関係した者はことごとく厳格な法的処罰が下される可能性が高いということを知っているからであろう。

 政府や関係者が必死になるはずである。
 
 加計学園と競合関係にあった京産大京都府が「準備不足」「政府の方針で外されたとは思っていない」などの言質をとらえて、政府はこんどの閉会中審査で答弁するのではないか、と思われる。

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果たして国民が納得する説明があるか?
(7月14日 読売テレビ「ten」より)

  ちなみに、京産大には平成28年度の私立大学等経常費補助金が一般・特別あわせて14億余円が国から支払われている。
 
 唐突な今回の京産大の発表や京都府知事の発言は「言わされているな」と、なんとなく感じてしまうのは考えすぎであろうか。