「アベノミクス」は「安倍のミス」

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  日銀は7月31日に金融政策の変更を行ったが、一体これで何をどのようにしたいのかがさっぱりわからない。

 日銀は目標としてきた「2%」の物価上昇の目途が立たなくなって、この失敗を覆い隠そうとして金融緩和政策の修正を決めたように思える。

 今回は長期金利の上昇を「0.2%程度」まで容認するというが、政策の柱としてきた長期金利の「0%」を引っ込めると、今まで長期にわたり強引に推し進めてきたことが批判されるのを恐れたようにしかみえない。

 政策路線を変更すれば日銀の沽券にかかわるのか「基本は変わっていませんよ、少しばかり修正を入れただけです」と言わんばかりだ。

 いや日銀だけではなく、安倍政権が進めてきた「アベノミクス」は名ばかり立派で、一向に効果が表れてきていないことを認めるのを恐れたのかもしれない。

 今まで日銀が消費者物価上昇率(2%)の達成目標年度を何度も変更したことを見る限り、もはや「アベノミクス」という言葉さえ使えば、景気を押し上げることができるという、ハリーポッターの杖のような魔力がないことだけは明白である。


 政府から発表されるいろいろな経済指標は、正直言って日本経済の正しい実態を表しているのか、眉唾ものである。

 この夏のボーナスは「大幅に増えた」と新聞の見出しに大きく載ったが、ちょっと待て、「大企業の」の言葉がなぜ付くのだ!中小企業はどうなのだ!

 また、「高就職率」や「求人数の増加」などが好景気を反映した言葉として一部の新聞に載るが、高齢化による労働人口減少や不当な低賃金あるいは厳しい職場環境などの理由で止むを得ず職に就けない人たちも多くいることを加味した分析が欠けている。

 どうもこれらの数字は、好景気をイメージできるデータだけを恣意的に拾い上げ、発表しているようにも思える。

 一例をあげるならば、ついこの前の7月24日、日銀が統計作成時に個人など家計が保有する「投資信託」の 金額を30兆円以上も多く計上していたことがわかったばかりである。

 誤りが発覚する前は、貯蓄から投資へと宣伝したアベノミクスの効果で、個人の投資が増えたとPRしていたが、実際は家計の投資信託保有額は減っていたのである。

 この誤りがわかったのは6月下旬だという。
 ひと月も経ってから知らせるのはどういう意図があるのだろう。

 日銀はこれについて「統計精度の向上の結果であり、ミスではない」と言っているが、30億円ならばともかく、30兆円である。

 このようにアベノミクスの政策の根幹を成す『貯蓄から投資へ』が幻想に終わりつつあることは、いかに「アベノミクス」が耳触りが良いだけで中身が伴わない政策であることを如実に示すものである。

 おそらく安倍政権は、これらの政策が確実に誤りであったという現実を目の前にしない限り、方針転換しないだろう。

 その時期が、時すでに遅し、となっていなければ幸いだが・・。

 「アベノミクス」は平成の大失政、すなわち「安倍のミス」として長く記憶に残ることは間違いない。