「景気は穏やかに回復」は本当か?

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 政府が29日に公表した1月の月例報告では、引き続き「景気は穏やかに回復している」という判断をした。

 さらに、2012年からの景気回復の期間が「戦後最長になった可能性がある」とした。

 政府はこれまで何度も「景気は穏やかに回復している」と発表しているが、多くの国民は何一つそのような実感を味わったことがないという。

 商売を営んでいる者に尋ねれば、最近はむしろじわじわと真綿で首を絞められるような厳しさを味わうことが多いと言う。

 今回の景気回復期間中の年平均の実質国内総生産の成長率はわずか1.2%。

 1965年から1970年まで57カ月続いた、いわゆる「いざなぎ景気」の時の成長率が11.5%だったことを考えると、今回(2012年12月~2019年1月)の成長率1.2%は計算上の誤差ともいえるもので、景気回復を意味する有意な数字だとはいえないのではないか。

 また厚生労働省の毎月勤労統計データーが不正な方法で作成されたことが発覚し、それを基本データーとして算出された現金給与総額の前年同月比の伸び率の数値が実態にそぐわない極端なものであったことを思えば、成長率がわずか1%や2%の数字でもって「景気回復だ!」と宣伝するのは強引だとしか思えない。

 その後ろめたさを隠したいのか、「穏やかに」という言葉をわざわざ付け加えたように思えるのである。

 振り返れば、過去の月例報告でも「景気は穏やかに回復」という言葉が何度も使われた。

 「景気は緩やかな回復基調が続く」と発表されたときもあった。

 「穏やかな回復」でもそれが何度も重なれば、我々には実感がないので違和感を覚えるものの、そろそろ「景気回復」とか「景気上昇」というような言葉が出てきてもよさそうだと思うが、今回もまた「穏やかな回復」のままである。

 アベノミクスの旗を振りかざす安倍政権の下、いつまでも景気と不景気の狭間でホバリングしている日本の景気であることよ。